その名もずばり、紫色のムラサキです。染料植物として古くから利用され、薬用にもなります。
現在は化学合成染料にとって代わりましたが、名前だけは有名で、ムラサキ科を代表する花でもあり、東アジアに広く分布しています。
近年株数は激減していて、山梨県では道志村や富士五湖周辺で見られるようです。
6月に白い小花が咲き、どこが紫? と思ってしまいます。地味な花で観賞用にもならず、実物を見るとがっかりしますね。
それでもロマンを誘う花ではあります。根に紫の色素がありpHで多少変わります。
このように、名前と色とがすぐには一致しない植物は他にも多く見られ、例えば、青紫色の花が咲くコガネバナ(根が黄金色)や、白や桃の花を咲かせるアカバナ(紅葉が鮮やか)など、説明がないと分かりにくいものです。
花の色がほんとうの紫というと、やはりシコンノボタン(紫根ではなく紫紺)でしょうか。深い紫色の花というのは意外に少ないように思いますが、いかがでしょうか。
次回、斑入りヘメロカリスです。