意外と怖いイヌサフラン

コルチカム

Colchicum autumnale

 

もっとも一般的なコルチカムで、日本でコルチカムといえば本種を指します。正式な和名はイヌサフラン。「犬サフラン」とは、アヤメ科のサフランに似ているけれど、食用にならないから付けられた名前と言われています。

ずいぶん乱暴な名前の付け方だなぁと思うのですが、そんな扱いに怒ったのか、イヌサフランは人間に対して手痛いしっぺ返しをしてきました。お花を見ているだけでは、きれいで無害に思えますが実は有毒植物です。しかも被害の件数で言えばトリカブトを越えるほどです。

漢方薬でも利用しているので普通に流通している植物なのですが、毒性分のコルヒチンが猛毒で、山菜として誤食しての死亡例も少なくありません。トリカブトは有名になったせいで誤食する人が減ったので、その分イヌサフランの死亡例が多くなっているのかもしれません。

こういう話しをすると、そんな恐ろしいものを植えて大丈夫か、という話題になるのですがコルヒチンの含有量が多くないので、トリカブトより危険はありません。特に球根に含まれるコルヒチンは少ないので、ガーデニングで楽しむ限りは心配いらないと思います。

春に出る葉を食べたり、球根を多量に食べたりしなければ、きれいなお花を安心して楽しんで貰える植物です。ただし、子供が誤って食べたりしないように、十分な注意をはらって欲しいと思います。