先週の暖かさで咲いてきたフクジュソウですが、この頃の夜温で花びらに痛みが生じてしまいました。それほど強く傷んでいるわけではないものの、お花の形が乱れてしまうくらいには影響が出ています。
素心ロウバイの話で触れた、昆虫に対するアピールの方法ですが、大きく分けて二つの方法があるといわれています。一つは香り成分によるもので、人間が良いと感じる香りだけでなく、昆虫のフェロモンと似た成分を出す植物も知られています。人間にとっても良い香りのものは、だいたいはハチや蝶など昼間に活動する昆虫に対してアピールしています。
対して人には悪臭と感じるもの、香りを感じられないものの場合は夜行性の昆虫や小動物、ハエやアブなど別の種類の昆虫に効果のある場合が多いようです。
もう一つの方法が視覚によるもので、お花の色や形といった見た目に訴えるものです。昆虫の場合は紫外線域が見える種類が多く、人には同じ黄色のお花でも、紫外線を当てるとまったく違う色に見えるものなどいろいろあります。素心ロウバイやフクジュソウのように、花びらに光沢を持たせてより「光る」アピールをするお花もあります。
人間にとっては美しかったり可愛らしかったり、観賞目的で見ているお花は植物にとってはタネを作るための大事な器官です。受粉を助けてくれるポリネーター(花粉媒介者)にどのように訴えるか。実はとてもシビアで強かな戦略の上で、様々な色やかたち、香りのお花が咲いているのです。