Saruma henryi
タカアシサイシンの和名があります。中国南部に自生する珍しい宿根草です。耐暑性もありますが、耐寒性もしっかりあって
ここ小淵沢のペレニアルガーデンでも冬越しします。
ウマノスズクサ科の植物で、カンアオイやフタバアオイといった古典園芸植物「細辛(さいしん)」の原種や、ウマノスズクサという
蔓になる山野草と同じ仲間です。
じつはこの植物、とても面白い特徴があります。やや専門的な話になりますが、植物分類学で双子葉植物(タネから双葉がでる)を
「合弁花類(ごうべんかるい)」と「離弁花類(りべんかるい)」の大きく二つに分類します。
それぞれの特徴は、花弁が分かれている(離弁花)か、くっついて一つの花冠(かかん)という花びらになっているかです。
離弁花類には、バラ、サクラ、アブラナなどがあって、花びらが一枚ずつ散るお花です。合弁花にはアサガオ、ツツジ、プリムラ
などがあります。
さてウマノスズクサ科の植物はどちらでしょう? カンアオイのお花を知っている方は、合弁花かな? と思うかもしれません。
しかしウマノスズクサ科は離弁花類です。その証拠がこのサルマ・ヘンリーを見るとはっきり分かるのです。レモンイエローの
三枚の花弁はバラバラに散って、まさしく離弁花であることを教えてくれます。
でもウマノスズクサはラッパみたいな筒状のお花だし、カンアオイも……と思われるかもしれません。じつはウマノスズクサ科の
お花は萼(がく)が花びらの代わりになっているものがほとんどで、花弁は退化しています。サルマ・ヘンリーのように
花弁がしっかり残っている種は珍しいのです。
写真の右上隅に花びらが落ちて緑色の萼が写っていますが、お分かりになるでしょうか。カンアオイのお花を緑にした雰囲気で、
これを見ると、ああ、確かに! と納得してもらえるかもしれません。