Lindera umbellata
あまり特徴がなく、お花が咲いても黄緑色で目立たない落葉樹なのに、なぜか古刹や神社の境内に植えられていることが多いのが、写真のクロモジの木です。クスノキ科のこの樹木は、独特のさわやかな香りがあって、特に枝に香油成分を多く含むので、昔から高級なつま楊枝として利用されてきました。
和菓子とセットで出てくる、木の枝を削ったようなつま楊枝を想い出してもらうと、それがこのクロモジです。香油成分は「黒文字油」として知られ、和紙の香料などに利用されています。
表皮が黒褐色になることから黒文字と呼ばれますが、お花が咲いている若い枝ではまだ黄緑色で黒くありません。年を経ると表皮に藻類が付いて変色する事で、高級感のある黒い枝に変化します。
和カフェのようなおしゃれなお店では、あまり出てこないかもしれませんが、和菓子を購入した際に付けてくれたり、昔ながらの茶店では出てくることも多いので、まだまだ人気のあるつま楊枝のようです。