緑のクリスマスローズ

緑一重のクリスマスローズ

ありそうでないもの、丸弁で形のよい一重のグリーンというクリスマスロースは、まさにそんなお花の一つかと思います。写真のクリスマスローズは以前にミヨシで販売していた、ピュアグリーンという品種なのですが、よいお花だとは思いますが……正直なところ人気はありませんでした。

クリスマスローズ生産者にお話をうかがう機会があって、「緑のクリスマスローズってどうですか?」とたずねると皆さん口を揃えて『ぜんぜん売れない』と答えて下さいました。なんともいえないトホホな気持ちになったのを覚えています。

それもしかたのない話で、原種のほとんどが緑一色の小輪一重咲きです。ピュアグリーンでいえば、オドルスのお花を何倍にも大きくしたような感じでしょうか。かといって香りがあるわけでもなく、これといった特徴もありません。

咲いていても苞葉や花茎にまぎれて目立たないし、ひどい話いつ咲いていつ散ったかもよく分からないうちに夏になる、とまで言われてしまうこともあります。そんな緑のクリスマスローズですが、ある育種家から面白いことを教えていただきました。

いい所が少しもないように見えるグリーンの一重咲きですが、実は病気に強いものが多いそうです。耐病性といいますが、クリスマスローズがかかりやすい、灰色カビ病、黒斑病、ベと病などにとても強くて、他の株がみんなやられているのにグリーンの株だけはピンピンしている、なんてことがよくあるそうです。

お花の育種を進める上で、耐病性の確保というのは重要なポイントで、育種家はオリジナルの耐病性導入品種を持っていることが多いです。門外不出がほとんどですから、趣味家が目にする機会はめったにないと思いますが、そういうものがあるのだと心にとめて見ていただくと面白いのではないでしょうか。