スイセンのアイスフォーリスが雨に濡れてうつむいて咲いています。雨に濡れた花びらが透けるような感じに見えるのが分かるでしょうか。お花が持っている色素の種類で一番有名なのはアントシアンだと思います。ポリフェノールの一種で、抗酸化作用が健康によいと知られてからすっかりお馴染みです。
アントシアンはフラボノール類の1つで、フラボノール類の多くは薄い黄色やクリーム色の色素です。黄色の色素には他にカロチノイドなどカロテンがありますが、写真のスイセンの花びら、白く見える所はフラボノールを含んでいます。その証拠に開き始めたつぼみの色は、薄いレモンイエローなのが分かると思います。
フラボノールは紫外線に弱い色素なので、紫外線の当たる所では時間と共に壊れてしまいます。そのためつぼみが開く頃になると花びらは白くなります。では白い別の色素になるのかというとそうではなく、色の無い別の物質に変わります。花びらを白く見せているのは細胞壁の層が作る光の反射で、いってみれば細かく泡立てた石けんの泡を見ているのと同じことです。
長く雨に当たったり水に落ちたりすると、細胞壁の空間に水が浸入して「泡」の状態ではなくなるので、透明で透けて見えるようになります。スイセンのお花には副冠と呼ばれる中心のフリルのような部分があります。写真でもきれいなレモン色の部分がそうです。この黄色は雨に当たっても、お花がふけても色が消えたり薄くなることはなく、むしろだんだん濃くなるものが多いです。
このことから副冠の黄色の色素はカロテンではないかと推測されますが、そのお話は別の機会にしたいと思います。