雨に濡れてしっとりした姿を見せてくれるスイセンのお花です。春先によく見る風景ですが、花だけでなくスイセンの葉に注目してみるといろいろ面白いことが分かります。葉先に近い部分が顕著ですが、白っぽく粉をふいているように見えるのが分かるでしょうか。
これは葉の表面にロウ成分が付いているからで、乾燥や紫外線から植物体を守っていると考えられています。植物の表皮細胞にはクチンという不飽和脂肪酸が蓄積して、クチクラ層と呼ばれる表皮になり、その外側にロウ成分が形成されます。
ネギの緑の部分もこんな感じですね。クチクラ層やロウ成分は植物体を乾燥から守る以外にも、害虫や病原の侵入を防いだり、物理的な強度を上げる役割もあるとされ、トクサのように珪素を含むものやシュウ酸カルシウムを含む植物もあります。
砂漠や高山、海岸付近など、植物にとって過酷な条件で育ってきたものほど、クチクラ層がよく発達しているようです。写真のスイセンは海岸や岩場に自生する種類が多く、発達したクチクラ層を持っています。球根植物や多肉植物にはこの傾向がありますので、自生地は乾きやすいのかな? と思ってもらうと栽培のヒントになります。
きれいなお花だけに目が行きがちですが、葉や茎や根っこにいたるまで興味をもって見ると新たな発見があるかもしれません。