Jeffersonia dubia
表現の難しい藤色と桃色の中間のような、独特の色合いのお花を咲かせます。山野草ブームの初期から人気で、
特に関西で人気があったことからご存じの方も多いのではないでしょうか。
お花の下から開き始めている、赤紫色の閉じた二枚葉がタツタソウの葉で、花が終わる頃に伸び始めて20cmを
越えるほどに生長します。花後に出来るタネはアリが持ち去ってしまうことが多くて、こぼれ種で増えるという話は
あまり聞きません。種子に甘い味の付属体が付いているからだそうです。
タツタソウの属しているメギ科の植物は、イカリソウやヒイラギナンテンのような一般的な植物もありますが、ほとんどは
一つの属に数種類しか含まれない、小さな集団で形成されています。タツタソウのジェファーソニア属も本種以外には
アメリカタツタソウ(Jeffersonia diphylla)しか知られていません。
タツタソウは中国東北部や朝鮮半島北部、アメリカタツタソウは北米大陸の東北部にだけ分布していて、なぜ別大陸の
東北部沿いに分かれて分布しているのか昔から議論の対象となっています。このような植物は探してみるとけっこう見付かるもので、
北アメリカ東北部には日本人に馴染みのある、どこかで見掛けたような植物が多数存在しています。おもしろいですね。