ヤブランの実

ヤブランの実

Liriope muscari

 

先日紹介した「ぬばたま」と同様に、真っ黒で艶のある黒玉を付けているのは、和風庭園の下草や宿根草の寄植え素材でもお馴染みの、ヤブランの種子です。年によっても異なりますが、残った花がらにびっしりと黒い種子が付きます。

タイトルではヤブランの実と書きましたし、見た目は実のように見えますが、ぬばたまと同じでこれも種子そのものです。黒い色は種皮なので、リンゴに例えると芯の部分に埋まっている、こげ茶の粒と同じものです。

植物の多くは実の中に種子を作ります。人や動物にとって美味しいジューシーな実を液果といいますが、ほとんどは乾果という乾いて中が空洞になる実を付けます。

ヤブランも実の中に二、三個の種子を作るのですが、実が育ってくる早い時期に果皮(実の皮)が裂けて落ちてしまって、中の種子がむき出しの状態で大きくなるという変わった育ち方をします。

花後に緑色の玉がたくさん付いているのを見る機会もあると思いますので、あぁ、これは実ではなくて種子なんだな、と思い出して頂けると興味がわいてくるかもしれません。

紫色のお花も可愛いですが、種子の状態も飾って楽しんで頂きたいと思います。